医療法人の設立認可申請に際しては、設立後の医療法人が安定した医療提供が可能であることを証明するために「資金」の裏付けが必要となります。
そのためには設立の際に一定の財産を拠出する必要がありますが、その拠出の方法として定められているのが「基金」と「寄付」です。
「基金」は、医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、医療法人が拠出者に対して医療法施行規則及び医療法人と拠出者との間の「合意」の定めるところに従い返還義務を負うものを言います。
財産拠出に際して「基金」を採用する場合、医療法人の定款に定めることが必要です。
「寄付」は文字通り財産を無償で寄付する行為ですので、基金と異なり返還は一切認められません。逆に言えば基金を採用したつもりでそれを定款に定めておかなければ「寄付」と扱われてしまいますので注意が必要です。
基金の拠出者は社員とは限りません。
また、基金を拠出していたとしても社員でない限りは医療法人に対して議決権を有しません。さらに言えば拠出の有無にかかわらず、社員の地位を有していれば1人1個の議決権を有しています。
実際のところ「基金の拠出者」には要件や適格性が定められておりませんので、極端な話どんな人でも拠出者になることができるとは言えます。
ただ、医療法人の設立の際は社員となる方が拠出したほうが都道府県からスムーズに認可を受けられますし、理事長となる方が拠出したほうが進めやすいと思います。
実際に都道府県などではそのように指導する場合が多いイメージです。
基金として拠出できる財産にはどのようなものが該当するか、都道府県によって考え方がことなる場合が多いですが、一般的には次のようなものがあります。
預貯金や現金はその額通りの評価となりますが、金銭以外の財産の評価方法はどうなるのでしょうか。
金銭以外の財産の拠出に必要な手続きに関しては厚生労働省の通知等で説明されていますが、まず金銭以外の財産を拠出の目的とするときには、その旨並びに当該財産の内容及び価額が相当であることについて、弁護士、弁護法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物拠出財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)を受けなければなりません。
この点、以下の場合には証明が不要です。