近年は医療法人ではなく「一般社団法人」による診療所開設が増えております。
弊社でも一般社団法人による開設をサポートさせて頂いております。
ただ、この一般社団法人による診療所開設は医療法人による開設以上に細心の注意を払って組織の仕組みを検討しておく必要があります。
一般社団法人は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人のことをいいます。
以前は、社団法人を設立するためには役所の認可が必要でしたが、実際のところ天下り団体でもなければこの認可を得ることはほぼ不可能でした。
そこで、平成18年に法律が改正され、手続きさえ踏めば誰でも一般社団法人を設立することができるようになったのです。
一般社団法人は、次のような特徴を持っています。
一般社団法人を設立するためには、社員2名と理事1名が必要です。
社員と設立時理事は同一人物でも構いませんので、最低限2名いれば一般社団法人を設立することができます。
ただし、診療所を開設する場合には人数について自治体ごとに考え方が異なります(例えば3名、等)
一般社団法人は行える事業に制限がありません。
会社と同様の営利事業を行うこともできます。
診療所を開設できるという点もこの特徴に基づいています。
一般社団法人を設立する場合、誰かに許可・認可を得る必要はありません。
決まった期限もありませんので、思い立ったらすぐに設立することができます。
医療法人による診療所の開設との違いはここにありますが、近年は安易な一般社団法人による開設を防ぐため、審査は厳格化されています。
一定の要件を満たした一般社団法人(非営利徹底型一般社団法人、共益活動型一般社団法人)は、税制面での優遇措置を受けることができます。
ここまでお読みいただいた方はお分かりのとおり、一般社団法人そのものには、公的な要素は全くありません。
ただ、この制度を知らない方は、「社団法人」という響きから、一般社団法人でも公的な団体だと思ってしまうようです。
これをビジネスにうまく活用している方もいらっしゃいます(もちろん、悪用してはいけません。)。
一般社団法人は、法律において「社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。」とされています。
したがって、剰余金の配当や残余財産の分配を受けることはできません。
これは会社との本質的な違いになりますし、医療法人同様に診療所を開設する場合に求められる非営利性もここに根拠を求めます。