医療法人は法律上「非営利性法人」に分類されます。
では、医療法人に求められる「非営利」とは、実際どのようなことを指すのでしょうか。
よくある誤解が「非営利」=「利益を追求してはいけない」というものです。
そもそも利益を上げなければ法人の経営ができませんので、法律も「利益を上げるな」ということは想定してはいません。
つまり「利益を追求してはいけない」という意味での「非営利」ではないということです。
「非営利性」の考え方
医療法人が「非営利法人」であることは間違いなのですが、「非営利」とはどういうことなのか。
端的に言えば、「医業、又は歯科医業を行って得た「利益」を法人の構成員に分配することができない」という意味です。
売上を計上して利益を上げることを否定している訳ではなく、「利益を分配すること」を禁止しているのです。
この点、代表的な営利法人たる株式会社と比較すると違いが歴然です。
株式会社でも売上を計上して利益を上げるまでは同様ですが、株式会社の場合は利益を株主に配当(分配)することができます。
非営利法人たる医療法人の場合はこのような「配当(分配)」ができません。
これが「非営利性」です。
ちなみに利益の内部留保を行ったり、設備投資を行うことは問題ありません。構成員に対する分配に当たらないからです。
注意すべきは、以下のような行為は配当(分配)に類似する行為として禁止されていることです。このような行為を行うと行政から問題視される可能性が高いです。
- 役員等に対する不当な利益の供与
- 近隣の土地建物の賃借料と比較して高額な賃借料の設定
- MS法人との間で業務委託契約を結び、その業務委託料が不当に高額
非営利性が問われる対象
この点、これら「非営利性」が問われるのは基本的に医療法人や病院です。
病院や診療所を開設する場合は「開設許可」が必要なのですが、営利目的の場合は許可がなされません。
この「開設許可」は「開設許可申請」に対応するものですが、開設許可申請が必要であるのは「病院」と「医師、または歯科医師でない者が診療所を開設する場合」です。
言い方を変えれば、「医師、または歯科医師」が診療所を開設する場合、つまり個人開設の場合は開設許可申請ではなく「開設届」ですので、非営利性は問われません。
いかがでしたでしょうか。
今回は医療法人の「非営利性」についてご説明しました。
医療法人の手続きに関してお悩みの際は、ハイフィールド行政書士法人へご相談ください。